アトピー性皮膚炎の全身療法について

こんにちは、有明こどもクリニック豊洲院院長の「のりちゃん先生」こと、村上典子です。

今日は、アトピー性皮膚炎の全身療法についてお話しします。アトピー性皮膚炎は、かゆみや湿疹が繰り返し現れる慢性的な皮膚疾患で、多くの方がその症状に悩まされています。

この時期は汗をたくさんかくことでかゆみが強くなって症状がひどくなるお子さんもとても多いです。全身療法は、アトピー性皮膚炎の治療において重要な役割を果たします。今回は、全身療法の種類や効果、治療の際のポイントについて詳しくご紹介します。

アトピー性皮膚炎の全身療法とは?

全身療法は、アトピー性皮膚炎の治療において、全身に影響を及ぼす薬物療法や光線療法などを指します。アトピー性皮膚炎の治療の基本は外用薬(保湿剤とステロイド軟膏)を使うことなのですが、全身療法を組み合わせて行うことで痒みや湿疹などの症状を改善することを目的としています。

主な全身療法の種類

抗ヒスタミン薬を内服する:抗ヒスタミン薬は、アトピー性皮膚炎によるかゆみを軽減するために使用されます。かゆみの原因となるヒスタミンの働きを抑えることで、痒みをコントロールして、皮膚を自分でかき壊してしまうことを防ぎます。

免疫抑制剤を内服する:免疫抑制剤は、免疫系の過剰な反応を抑えるために使用されます。アトピー性皮膚炎は免疫系の異常反応が原因とされているため、この薬剤により症状のコントロールが可能です。主に、シクロスポリンなどが用いられます。

経口ステロイド薬:重症のアトピー性皮膚炎に対しては、経口ステロイド薬が使用されることがあります。ステロイドは強力な抗炎症作用があり、炎症を迅速に抑えることができます。ただし、長期使用には副作用のリスクが伴うため、医師の指導のもと慎重に使用されます。

光線療法(フォトセラピー):光線療法は、紫外線(UV)を利用して皮膚の炎症を抑える治療法です。特に、中波長紫外線(UVB)や長波長紫外線(UVA)が効果的とされています。定期的な治療が必要であり、医療機関で行われます。

生物学的製剤:最近では、生物学的製剤と呼ばれる新しい治療法も登場しています。これらは特定の免疫細胞やサイトカインを標的として、アトピー性皮膚炎の症状を抑える作用があります。デュピルマブなどが代表的です。

    最近、私が注目してるのは5の生物学的製剤です。適応になるお子様には保険が適応しますし、大変素晴らしい効果をあげています。

    全身療法の効果と注意点

    全身療法は、重症のアトピー性皮膚炎に対して特に効果的です。かゆみや炎症を抑え、生活の質を向上させることが期待できます。しかし、以下の点に注意が必要です。

    副作用のリスク:全身療法には、副作用のリスクが伴います。例えば、免疫抑制薬は感染症のリスクを高めることがあり、経口ステロイド薬は長期使用で骨密度低下や高血圧などの副作用が生じることがあります。使用前に医師と十分に相談しましょう。

    継続的な治療が必要:アトピー性皮膚炎は慢性的な疾患であり、症状が改善しても再発することがあります。そのため、継続的な治療と定期的な医師の診察が重要です。

    個別対応の重要性:アトピー性皮膚炎の治療は個々の患者の状態に応じて異なるため、医師と相談しながら最適な治療法を選ぶことが大切です。また、日常生活でのスキンケアやアレルゲン回避も重要です。

    パパママへのアドバイス

    お子さんがアトピー性皮膚炎に悩んでいる場合、以下の点に注意してケアを行いましょう。

    医師との連携:定期的に医師の診察を受け、治療方針を確認しましょう。全身療法を始める際は、副作用についても詳しく説明を受けることが重要です。

    適切なスキンケア:保湿剤を使用して肌の乾燥を防ぐことが、症状の悪化を防ぐポイントです。また、刺激の少ない石鹸やシャンプーを選び、適切な入浴方法を心掛けましょう。

    アレルゲン回避:食事や環境にアレルゲンが存在する場合、それらを回避することが症状の改善に繋がることがあります。食事日記をつけたり、アレルギーテストを受けたりすることで、原因を特定しましょう。

    アトピー性皮膚炎は、適切な治療とケアでコントロール可能な疾患です。全身療法もその一環として、症状を和らげるために有効な手段となります。何か心配なことがあれば、いつでもクリニックにご相談くださいね。

    次回も役立つ情報をお届けしますのでお楽しみに!

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