食物アレルギーとアナフィラキシーについて

こんにちは、有明こどもクリニック豊洲院院長の「のりちゃん先生」こと、村上典子です。

食物アレルギーを持つ子どもを育てるパパママにとって、アナフィラキシーは大きな心配事の一つです。アナフィラキシーは、アレルギー反応が全身に広がり、生命に関わる緊急事態となることがあります。

今回は、食物アレルギーによるアナフィラキシーについて、その原因や症状、そして緊急時の対応方法を詳しくお伝えします。

食べ物アレルギーとは?

食物アレルギーは、特定の食物を摂取した際に、体の免疫系が過剰に反応してしまうことによって引き起こされる症状です。アレルギーの原因となる食物は人それぞれ異なりますが、子どもに多いものとして以下が挙げられます。


牛乳
小麦
ピーナッツ
えび・かに
そば
大豆

これらのアレルゲンが体内に入ると、免疫系が過剰に反応し、蕁麻疹、腫れ、咳、呼吸困難、腹痛・下痢などの症状が現れることがあります。

アナフィラキシーとは?

アナフィラキシーは、食物アレルギーが原因で発生する最も重篤なアレルギー反応の一つです。アレルゲンに触れることで、体が急激に反応し、複数の臓器にわたる症状を引き起こします。アナフィラキシーは非常に迅速に進行するため、早期の対応が必要です。

主な症状は次のようなものです。

皮膚症状
蕁麻疹、発赤、強いかゆみなどが急に現れます。顔や唇、まぶたが腫れることもあります。

呼吸器症状
息苦しさ、咳、ゼーゼーとした喘鳴(ぜんめい)、喉の締め付け感などが見られます。重篤な場合、呼吸困難になることがあります。

循環器症状
めまい、血圧の急激な低下、意識混濁、脈拍の速さや不整脈などが見られることがあります。ショック状態に陥ると、命に関わる危険があります。

消化器症状
嘔吐、下痢、腹痛などの症状が見られることがあります。

その他
意識の喪失や失神、冷や汗、激しい不安感などもアナフィラキシーの症状として現れることがあります。

アナフィラキシーの緊急時の対応

アナフィラキシーは、時間を争う緊急事態です。以下の対応策を覚えておきましょう。

すぐにアドレナリン自己注射薬(エピペン)を使用する
アナフィラキシーの最も効果的な初期治療は、アドレナリンの自己注射です。エピペンは、太ももの外側に注射することで、急速に症状を緩和します。子どもがアレルギーを持っている場合は、エピペンを常に携帯し、使用方法を家族全員が理解しておくことが重要です。

救急車を呼ぶ
エピペンを使用した後でも、必ず救急車を呼んで医療機関での治療を受ける必要があります。アナフィラキシーは一時的に症状が治まっても、再び悪化することがあるため、専門的な医療ケアが必要です。

安静を保つ
患者を仰向けに寝かせ、足を少し上げて安静を保ちます。呼吸が苦しい場合は、楽な姿勢で座るようにさせましょう。

医師の指示を仰ぐ
医療機関に到着したら、医師の指示に従って適切な治療を受けるようにしましょう。場合によっては、ステロイドや抗ヒスタミン薬の投与が行われます。

日常生活での予防策

アナフィラキシーを防ぐためには、日常生活での注意がとても重要です。以下の対策を参考に、アレルギーのリスクを減らしましょう。

アレルゲンの特定と除去
アレルギーの原因となる食材を明確にし、それを避けるようにしましょう。アレルギー専門医の診断を受け、アレルゲンテストを行うことで、具体的な原因がわかります。

食品表示の確認
食品を購入する際は、必ず成分表示を確認し、アレルゲンが含まれていないかチェックしましょう。また、外食時には店員にアレルギーについてしっかり伝えることが大切です。

学校や保育園との連携
お子さんがアレルギーを持っている場合、学校や保育園にその情報を伝え、対応方法を共有しておきましょう。緊急時に備え、エピペンの使用方法やアレルギー症状のサインについて、周囲の人々にも理解してもらうことが重要です。

緊急時の連絡方法の確保
アナフィラキシーの症状が現れた場合にすぐに助けを求められるよう、緊急連絡先を記載したものを携帯させましょう。

エピペンの携帯と使い方の確認
エピペンは有効期限があるため、定期的にチェックし、期限切れが近づいたら新しいものを準備しましょう。また、家族全員でエピペンの使い方を確認しておくと安心です。

食物アレルギーによるアナフィラキシーは非常に怖いものですが、適切な準備と対応をしておくことで、リスクを最小限に抑えることができます。お子さんの健康を守るために、日常生活での予防と緊急時の対応をしっかりと準備しておきましょう。何か心配なことがあれば、いつでもクリニックにご相談くださいね。

次回も役立つ情報をお届けしますのでお楽しみに!

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