感染症で大切なイベントに参加できなかった時の考え方
こんにちは、有明こどもクリニック豊洲院院長の「のりちゃん先生」こと、村上典子です。
「暑さ寒さも彼岸まで」とは本当にその通りで、朝晩はだいぶ過ごしやすくなってまいりました。こうなると屋外でのレジャーや行事が多くなってくる時期ですね。しかし同時に、1日の気温差が大きく空気が乾燥して子供達が風邪をひきやすくなる季節にもなってきました。
子どもが感染症にかかり、楽しみにしていた学校行事や家族旅行、何週間も前から待ち望んでいたイベントに参加できなくなることは、親としても非常に辛い経験です。どうしても参加を断念しなければならない場合、親子共にショックを受けてしまうこともありますよね。
今回は、子どもが感染症で大切な行事や旅行に参加できなかった時の考え方について、小児科専門医としてお話ししたいと思います。
子どもの気持ちを理解し、共感する
子どもが行事や旅行に参加できなくなった時、まず大切なのは、子どもの気持ちに寄り添うことです。楽しみにしていたイベントに参加できなくなったことに対して、子どもは悲しみや怒り、悔しさを感じるでしょう。そんな時は、無理に元気づけるのではなく、まずは「悲しいよね」「楽しみにしていたもんね」と、子どもの感情をしっかり受け止めてあげることが大切です。
・共感の言葉をかける
「すごく楽しみにしていたのに、残念だったね」「行けなくて本当に悔しいね」など、子どもが感じている気持ちに寄り添う言葉をかけてあげましょう。
・気持ちを共有する
「ママも一緒に行けなくて残念だよ」と親も同じ気持ちを共有していることを伝えると、子どもは少し安心するかもしれません。
健康を優先することの大切さを教える
感染症にかかってしまった場合、健康を最優先に考えることが重要です。特にインフルエンザや胃腸炎、RSウイルスなどの感染症は、他の子どもや大人に感染させるリスクがあるため、無理に外出や参加をさせないことが基本です。学校行事や家族旅行に参加できないのは残念ですが、「自分の体を守ること」と「他の人に感染させないこと」の両方が大切だということを伝えることが大事です。
・健康管理の大切さを教える
「今は体をしっかり休めて、早く元気になることが大事だよ」「無理をしてもっと悪くなるより、ちゃんと治してからまた楽しもう」と、子どもに健康を最優先する考え方を教えましょう。
・他の人への思いやりを伝える
「もし無理に参加して、他の友だちにうつしちゃったらみんな困るから、今回は家でゆっくり休んで、次のチャンスを待とうね」と、他者を思いやることも大切だと教えることができます。
代わりの楽しみを見つける
子どもにとって楽しみにしていたイベントや旅行が中止になることは、非常に大きなショックです。しかし、少し体調が回復してきたら、別の楽しみを見つけることで、気持ちを切り替えることができるかもしれません。親としては、無理に予定を埋めるのではなく、次に楽しみにできるイベントや新しい活動を提案してみましょう。
・次のイベントを楽しみにする
「体が元気になったら、次に○○をしよう!」というように、別の日に何か特別なことを計画してあげるのも一つの方法です。例えば、旅行が中止になった場合、次の週末に家族でピクニックに行くなど、小さな楽しみを作ってあげると子どもの気持ちも明るくなります。
・家でできる楽しみを見つける
「今日は家で特別な映画を一緒に見よう!」や「一緒にゲームをしよう」など、家でできる楽しい時間を作ることも効果的です。病み上がりでも楽しめる軽いアクティビティを提案して、気分転換を図りましょう。
成長の機会として捉える
子どもにとって、大切な行事や旅行に参加できない経験は非常に辛いものですが、その経験が成長の機会になることを教えてあげることも大切です。子どもにとっては、計画通りにいかないことを受け入れ、次に進むということを学ぶ良い機会です。
・失望を乗り越える力を育てる
「残念だけど、次に向けてまた頑張ろうね」「今回は行けなかったけど、これも経験だから、また違うことを楽しみにしよう」と、前向きな気持ちを育てる言葉をかけてあげましょう。
・柔軟な考え方を学ぶ
計画通りにいかないことや予期せぬ事態に対処することは、大人になってからも必要なスキルです。小さな年齢でも、「今回はこうなっちゃったけど、また別の楽しいことを探してみよう!」と柔軟に考える力を育てるサポートをしましょう。
親自身も無理をしない
親としても、楽しみにしていた行事や旅行が中止になると残念な気持ちになります。しかし、親自身も無理をせず、気持ちを切り替えることが大切です。子どもにとっては、親がどのように反応するかが大きな影響を与えます。親が前向きに物事を受け止める姿勢を見せることで、子どももその姿勢を学ぶことができます。
・家族でリラックスする時間を大切にする
子どもが体調を崩しているときには、親も一緒にリラックスした時間を過ごすことが大切です。無理に外出したり、代替の予定を立てるよりも、家でのんびり過ごすことで、家族全員が体を休める時間を持ちましょう。
子どもが感染症にかかり、大切なイベントに参加できないのは、子どもにとっても親にとっても大変な経験です。
しかし、このような経験は、健康や思いやり、柔軟な考え方を学ぶ貴重な機会でもあります。子どもが無理をしないようにサポートしながら、次の楽しみや成長を見つけられるように、温かく見守ってくださいね。
次回も役立つ情報をお届けしますのでお楽しみに!