子どものマスク着用:表情が見えないことで生じる影響と親ができる対策
こんにちは、有明こどもクリニック豊洲院院長の「のりちゃん先生」こと、村上典子です。
コロナウイルスの流行以降、子どもたちも日常的にマスクを着用する生活が続いています。マスクは感染予防のために重要ですが、子どもの発達における「表情が見えない」ことの影響について心配するパパママも多いのではないでしょうか。
今回は、マスクによる子どもの発達への影響や、親として気をつけるべきことについてお話しします。
マスクで表情が見えないことの影響
子どもにとって、他者の表情を読むことは、社会性やコミュニケーション能力を育むためにとても重要な役割を果たします。特に幼児期の子どもたちは、表情を見ながら言葉を理解したり、感情を読み取ったりすることで、他者との関係性を学んでいきます。しかし、マスク着用によって表情が見えにくくなることで、以下のような影響が懸念されています。
・感情の理解が難しくなる
子どもたちは、笑顔や怒り、悲しみなどの表情を通じて他人の感情を理解します。マスクによって口元が隠れると、相手の感情を読み取りにくくなるため、コミュニケーションが難しくなります。
・表情模倣が減る
子どもは他者の表情を模倣することで、自分の感情を表現するスキルを学びます。マスクを着用していると、模倣する機会が減り、自分の感情表現がうまくできなくなることがあります。
・言葉の理解が遅れる可能性
特に小さな子どもや言葉の発達が進んでいる時期の子どもたちは、口の動きや表情を見ながら言葉を理解します。マスクで顔の半分が隠れることで、言葉の習得に影響を与える可能性があります。
社会性やコミュニケーション力への影響
マスクの着用によって、子どもたちは社会性の発達やコミュニケーションスキルにも影響を受けることがあります。学校や保育園では、友だちや先生とのやり取りが重要ですが、マスクがそれを阻害することがあります。
・コミュニケーションのズレ
言葉だけでなく、表情や身振りを使った非言語コミュニケーションが子ども同士のやり取りには大きな役割を果たします。マスクで表情が隠れると、微妙な感情の変化や意思疎通がうまく伝わらず、誤解が生じやすくなります。
・友だちとの関係が築きにくくなる
マスクによって表情が見えないことで、子どもたちが友だち同士で親しみを感じにくくなり、友だちとの関係が築きにくくなることも考えられます。表情を介した笑顔や共感が見えにくくなると、仲良くなるチャンスを逃してしまうことがあります。
親ができる対策とサポート
マスク着用による影響を最小限に抑えるためには、親が家庭でできるサポートが非常に重要です。以下のような工夫で、マスクによる表情の遮断を補うことができます。
・家庭ではマスクを外して表情豊かに接する
家庭ではマスクを外した状態で子どもと接することで、子どもが十分に表情を読み取れる環境を作りましょう。子どもが日常的に親の顔や表情を観察することができれば、マスク着用時でも感情や意図を理解しやすくなります。
・表情を言葉で補う
マスクで表情が見えにくいときは、言葉で感情を伝える習慣を身につけることが大切です。「今、笑っているよ」「ちょっと悲しい気持ちだよ」など、言葉で感情を表現することで、子どもが状況を理解しやすくなります。
・表情に関する遊びや学びを取り入れる
家庭では、表情をテーマにした遊びを取り入れて、表情を認識する練習をすることも有効です。例えば、「この顔はどんな感情?」というクイズをしたり、絵本を使って登場人物の感情を話し合ったりすることで、子どもが表情と感情を結びつける力を養うことができます。
・マスク着用時の工夫
子どもたちが日常的にマスクを着用する場面では、マスク以外の方法で感情を伝えることを意識しましょう。例えば、手を使ったジェスチャーや目の表情(アイコンタクト)でコミュニケーションを取る練習をすることで、感情をより豊かに表現することができます。
マスク着用に関する柔軟な対応
マスク着用は感染予防のために重要ですが、状況に応じた柔軟な対応も大切です。例えば、屋外での活動や、密ではない環境では、マスクを外してリラックスできる時間を確保することも重要です。特に友だちとの遊びや運動を通じて表情が自然に見える状況を増やすことは、子どもの発達にとって良い影響を与えます。
・屋外での活動を増やす
外で遊ぶ時間を増やし、マスクを外して自由に表情を出せる環境を作ってあげましょう。公園での遊びや運動など、広々とした場所での活動は、子どもにとって心身ともにリフレッシュできる機会です。
マスク着用は感染予防のために欠かせないものですが、子どもの発達においては表情が見えにくいことによる影響も考慮する必要があります。親としては、家庭内での表情豊かなやり取りや、言葉やジェスチャーで感情を補う工夫をすることで、子どもたちの健全な成長を支えていきましょう。マスクを外せる環境が整ったときには、思い切り表情を出せる時間を作ってあげることも大切です。
次回も役立つ情報をお届けしますのでお楽しみに!