体内時計を整える鍵!メラトベルとは?

こんにちは、有明こどもクリニック豊洲院院長の「のりちゃん先生」こと、村上典子です。

「夜なかなか寝付けない」「朝スッキリ起きられない」「昼夜逆転してしまう」といった睡眠の悩みを抱えるお子さんはいませんか?
こうした体内時計の乱れは、生活リズムの崩れやホルモンの分泌異常が原因となることがあり、特に思春期の子どもに多くみられます。

そんな「夜型リズム」を改善するための治療薬として、メラトベル(メラトニン製剤)が注目されています。今回は、体内時計とメラトニンの関係、メラトベルの効果や使用のポイントについて詳しく解説します!

体内時計とメラトニンの関係

人間の体には、約24時間の体内時計(サーカディアンリズム)が備わっています。
このリズムを調整しているのが「メラトニン」というホルモンです。

メラトニンの役割
夜になると分泌が増え、自然な眠気を誘う(「眠る準備」のホルモン)
朝になると分泌が減少し、スッキリ目覚める(「起きる準備」のホルモン)
※しかし、生活習慣の乱れや思春期のホルモン変化により、メラトニンの分泌が遅れると、
寝つきが悪くなり、朝起きられない「夜型リズム」になってしまいます。

こんな症状がある場合は要注意!

次のような症状がある場合、体内時計がズレてしまっている可能性があります。

体内時計が乱れた子どもに見られる症状
・夜12時を過ぎても眠くならない
・朝、目覚ましが鳴っても起きられない
・学校のある日は寝不足でつらいが、休日は昼まで寝てしまう
・夜になると目が冴えてしまう(スマホを見ているわけではないのに…)
・起立性調節障害や自律神経の乱れがある

特に思春期のお子さんに多い「睡眠相後退症候群」では、
「寝る時間がどんどん遅くなり、学校に間に合わなくなる」ことがよくあります。

こうした「体内時計のズレ」を調整するために登場したのが、メラトベル(メラトニン製剤)です。

メラトベルとは?どんな薬?

メラトベルは、「メラトニン」という睡眠ホルモンを補うお薬です。

もともと海外ではメラトニンはサプリメントとして広く使われていましたが、
日本では2020年に「小児の体内時計の乱れを治す薬」として、メラトベルが承認されました。

メラトベルの効果と使い方

メラトベルの効果

体内時計を正常なリズムに戻す(睡眠相後退症候群の改善)
夜、スムーズに眠れるようになる(寝つきの改善)
朝、スッキリ目覚めやすくなる(睡眠の質を向上)
💡 「睡眠導入剤」とは違い、依存性がなく自然な眠りを促すのが特徴です!

メラトベルの飲み方

寝る1~2時間前に服用(夜8~9時ごろが目安)
低用量からスタートし、効果を見ながら調整
3ヶ月以上継続すると、体内時計が安定しやすい

メラトベルの注意点と副作用

副作用は少ないが、注意点も
メラトベルは比較的安全なお薬ですが、まれに以下の副作用が出ることがあります。

・朝の眠気が残る(服用時間を調整することで改善)
・頭痛や軽いめまい(体が慣れると軽減)
・消化不良(まれに胃もたれを感じることがある)

また、メラトベルは「すぐに眠くなる薬」ではないため、毎日継続して服用することで体内時計が徐々に整っていくのがポイントです。

メラトベルと一緒に行うべき体内時計改善の方法

メラトベルを使うだけではなく、生活習慣も整えることがとても大切です。

メラトベルと併用すると効果的な習慣

朝はしっかり太陽の光を浴びる(朝の光がメラトニン分泌を調整!)
夜のブルーライト(スマホ・タブレット)を避ける(寝る1時間前にはスマホをオフ!)
寝る前のリラックス習慣を作る(読書やストレッチなど)
毎日同じ時間に寝る・起きるリズムを作る

特に「朝日を浴びる」ことは、メラトベルと併用すると効果がさらにアップします!

メラトベルが向いているのはこんな人!

「夜型リズム」で朝がとにかくつらい子(睡眠相後退症候群)
「起立性調節障害」で朝が苦手な子(自律神経の乱れがある場合)
「発達障害(ADHDやASD)」で睡眠リズムが整わない子
「昼夜逆転してしまった」子(学校生活に影響が出ている場合)

睡眠リズムを正常に戻すことで、集中力が上がり、学校生活も安定しやすくなります!

メラトベルは、体内時計の乱れを治すための「メラトニン補充療法」です。
💡睡眠導入剤とは違います。

ただし、生活習慣の改善とセットで行うことが大切です!
「夜更かしが続いている」「朝起きるのがつらい」というお子さんは、一度ぜひ医師に相談しにきてください。

次回も役立つ情報をお届けしますのでお楽しみに!

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