皆さんは虫に刺されたことにその場で気づくことはできますか?
意外と自分が虫に刺されていることに気付かず、後になってかゆさや痛みで気づくことが多いかと思います。
かゆみや赤みが続くと、無意識に掻いてしまい痕になったり、治りが遅くなったりすることも多いです。

虫刺されの原因となる虫にはいくつか種類があり、お子さんも外で遊んでいる間に沢山虫に刺されたり触ってかぶれてしまうこともあります。
虫が皮膚を刺したり咬んだりしたときには、虫が持っている毒成分・唾液成分がアレルゲン(抗原)となって、体の中の抗体と反応しヒスタミンなどのかゆみの原因物質が分泌され、かゆみや炎症などの皮膚炎を引き起こします。

● 蚊
蚊は通常、顔・手足などの露出部を刺します。
蚊は人家周辺、山野などのどこにでも生息しますが、朝夕の涼しい時間帯や草むらなどでは蚊に刺されやすくなります。

● ダニ
ダニによる虫刺されの原因としては、ネズミに寄生するイエダニによる被害が多いです。
イエダニは体長 0.7mm前後ときわめて小さい上に寝ている間に寝室内に侵入し、衣類の中に潜り込んで吸血するため、刺されている場面はほとんど見ることができません。古い一戸建てで、床下や天井裏などにネズミが生息するような家で被害がでやすいようです。
 顔や手足はほとんど刺さず、わき腹や下腹部、ふとももの内側などを刺して、かゆみの強い赤いブツブツができます。

● ノミ
ノミによる被害はほとんどがネコノミによるものです。ネコノミは体長2~3mmの羽のない昆虫で、オスもメスもノラネコやイヌの体に寄生して吸血します。メスは庭や公園などの土のある所に卵を産み、そこで幼虫が育ってサナギになり、やがて成虫が現れます。そこに人がやって来ると、地面から成虫が足元に飛び付いて皮膚から吸血します。吸血時間は、長い場合は10分以上になることもあります。
ノミに刺されてもその場では気付かず、吸血されて1~2日後にかゆみのある赤いブツブツができて初めて気付く人も多いようです。
屋外ではスネや足など膝から下を集中的に刺されるのが特徴でしばしば水ぶくれを作り、とても強いかゆみがあります。
室内で飼っているネコやイヌにノミが寄生している場合は体や腕など、衣類から肌の出ている部位から吸血しますのでこれらの部位に皮疹が見られます。

● ハチ
刺すハチとしてはアシナガバチ、スズメバチが代表的です。
アシナガバチやスズメバチの場合は、庭木の手入れや農作業、林業、ハイキングなどの際に刺されることが多く、特に秋の野外活動での被害が多いので注意が必要です。
時には、越冬するために室内に侵入したハチに刺されることもあります。
ミツバチに刺されるのは養蜂家の方々が多く、一般人が刺されることは稀です。

ハチに刺されるとまず激しい痛みが出現し、赤く腫れます。これはハチ毒の刺激作用によるもので、初めて刺された場合、通常は1日以内に症状は治まります。
しかし、2回目以降はハチ毒に対するアレルギー反応が加わるため、刺された直後から蕁麻疹を生じたり、刺されて1~2日で強い発赤や腫れを生じたりします。この反応には個人差が大きいですが、ひどい場合は刺されて30分~1時間で呼吸困難、腹痛、意識消失や血圧低下などを生じて、死に至ることがあります。これはアナフィラキシーショックと呼ばれる症状で、ハチ刺されによる死亡事故はこの特殊なアレルギー反応によるものです。

対策としてはハチに刺されないようにすることが重要です。
ハチを刺激することや巣に近付くことはとても危険です。特に夏~秋はハチの活動が活発になり、攻撃性が高まる時期なので注意してください。
香水やヘアスプレーなどの香りはハチを刺激することがあるので、野外レジャーの際には避けて下さい。
刺された場合は、安全な場所で静かに横になってできれば局所を冷やしてください。アンモニアを塗る、という昔からの方法がありますが実は全く効果がありません。
蕁麻疹や腹痛、気分不良などの症状が認められた場合は直ちに救急車を呼ぶ必要があります。
特に全身症状もなく元気な様子であれば心配いりませんが、あとで腫れてくる場合もありますので、その場合は医師の診察を受けてください。
なお、ハチに刺されてショック症状を起こす可能性のある方は緊急時に使用する「エピペン」というアドレナリン自己注射薬を携帯しておく必要があります。そのためにはまずエピペンを処方することのできる専門の登録医の診察を受けていただく必要があります。

● 毛虫
蝶や蛾の幼虫は毛虫あるいはイモムシです。
毛虫の毛には毒があってかぶれるものと思われがちですが、すべての毛虫が毒を持っているわけではありません。実際には有毒毛を持っている一部の毛虫に触れた場合にだけ皮膚炎を生じます。
 有毒毛には主に毒針毛(どくしんもう)と毒棘(どくきょく)があり、前者はドクガ類(ドクガ、チャドクガなど)やカレハガ類(マツカレハ、タケカレハなど)、後者はイラガ類(イラガ、ヒロヘリアオイラガなど)の幼虫に備わっています。
 ドクガ類の毒針毛は長さ0.1~0.2mmの微細なもので、幼虫1匹に数十万本以上が密生しているため、これに触れると激しいかゆみを伴うジンマシンのような症状、あるいは赤いブツブツが多発します。これは首や腕に集中して生じるのが特徴で、掻くことで次第に増数します。
 都市部や市街地では、ツバキやサザンカにつくチャドクガの幼虫による被害が問題になっています。庭木の手入れをした後に発症することが多いですが、ケムシに触れた覚えがなくても皮膚炎を生じる例が意外に多いようです。
 イラガ類の毒棘に触れると、その瞬間にピリピリした激しい痛みと発赤が出現し、1~2時間で一旦治まります。しかし、その翌日に同部が赤く腫れてかゆみを生じることがあります。主に西日本の人家周辺では桜や楓・薔薇・楠木などにつくヒロヘリアオイラガの幼虫による被害が多発しています。

● 虫刺されの治療はどうすればよいですか?
虫刺されの治療は、軽症であれば市販のかゆみ止め外用薬でもよいですが、赤みや痒みが強い場合は副腎皮質ホルモン(ステロイド)の外用薬が必要です。
虫刺されの多くは1~2週間以内に改善しますが、症状が強い場合は抗ヒスタミン薬やステロイドの内服薬が必要になるので、皮膚科専門医を受診するのがよいでしょう。
ただ、これらの治療はあくまで現在の皮膚症状を抑えるのが目的であり、原因となる虫が身近に生息している場合は次々と新たな皮疹が出現する可能性があります。その場合は原因となっている虫を確認して、その駆除対策を実施する必要があります。
 なお、刺された虫によっては、対処法や治療法が異なる場合がありますので、可能であれば実物を保管して医療機関に持参するか、スマートフォンなどで虫の写真を撮影して記録しておくとよいでしょう。

● 虫刺されの予防はどうすればよいですか?
室内のカやノミなどの駆除には燻煙殺虫剤が有効ですが、気密性の低い家屋ではあまり効果がでません。
トコジラミは柱や調度品の隙間、畳の裏側などに潜んでいるため燻煙の効果が出にくいこと、一般的な殺虫剤(ピレスロイド系)に対して抵抗性を持っている場合は専用の殺虫剤が必要になることなどもあり、専門の駆除業者に相談する方が確実です。
イエダニは室内には生息せず、床下や天井裏などのネズミの巣に発生源がありますので室内の燻煙処置では駆除できません。したがって、その宿主であるネズミの駆除が必要です。
蚊やマダニなどの吸血性節足動物に対する予防対策としては、野外活動の際には肌の露出を少なくし、携帯用蚊取りや虫除けスプレ-などの忌避剤を用いることで、ある程度の防除は可能です。

皆さんは虫に刺されたことにその場で気づくことはできますか?
意外と自分が虫に刺されていることに気付かず、後になってかゆさや痛みで気づくことが多いかと思います。
かゆみや赤みが続くと、無意識に掻いてしまい痕になったり、治りが遅くなったりすることも多いです。

虫刺されの原因となる虫にはいくつか種類があり、お子さんも外で遊んでいる間に沢山虫に刺されたり触ってかぶれてしまうこともあります。
虫が皮膚を刺したり咬んだりしたときには、虫が持っている毒成分・唾液成分がアレルゲン(抗原)となって、体の中の抗体と反応しヒスタミンなどのかゆみの原因物質が分泌され、かゆみや炎症などの皮膚炎を引き起こします。

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