赤ちゃんの臍(さい)ヘルニアの圧迫療法について
こんにちは、有明こどもクリニック豊洲院院長の「のりちゃん先生」こと、村上典子です。
今回は、赤ちゃんのでべそ・臍(さい)ヘルニアについてお話しします。生まれたばかりのお子さまのおへそがぽこっと膨らんでいるのを見つけて、驚かれる親御さんも多いのではないでしょうか。実は、でべそ臍ヘルニアは赤ちゃんにはよく見られるもので、ほとんどの場合、自然に治ることが多いですが、場合によっては圧迫療法が有効なこともあります。
今日は、臍ヘルニアの原因や自然経過、圧迫療法の効果と方法、注意点についてわかりやすくおつたえします。
臍ヘルニアとは?
臍ヘルニアとは、いわゆるでべそのことです。赤ちゃんのおへその部分から腸が飛び出している状態で、泣いたりお腹に力を入れた時に、おへそがぷっくりと膨らむのが特徴です。
✅ なぜ起こるの?
赤ちゃんがお母さんのお腹にいる間、おへそは胎盤とつながるためのへその緒の通り道です。
生まれた後、この穴は自然に閉じるのですが、閉じきる前に腸が押し出されることで臍ヘルニアが発生します。
✅ どのくらいの頻度?
生まれてすぐから生後1か月頃までに見られることが多く、新生児の約5~10%に発生します。
早産児や低出生体重児では、発生率がやや高くなる傾向があります。
臍ヘルニアの自然経過について
臍ヘルニアの多くは、自然に治癒することがほとんどです。
自然治癒の時期
・生後6ヶ月頃までに約半数が自然に閉じます。
・ 1歳までに80~90%が自然に治癒します。
・ 2歳までにほとんどのケースが治るとされています。
しかし、次のような場合は治療が検討されます。
・2歳を過ぎても閉じない場合
・ヘルニアの膨らみが大きい場合(3cm以上など)
・美容的な配慮で気にされる場合
圧迫療法とは?
圧迫療法は、おへそが自然に閉じるのを促すための治療法です。おへそを押さえつけることで、腸が飛び出さないようにサポートし、自然治癒を早める効果が期待されます。
✅ 圧迫療法の方法
圧迫療法は、医師の指導のもとで行う必要があります。自己判断でのテープ貼付は避けましょう。
①医師の診断と説明
ヘルニアの状態を確認し、圧迫療法の適応を診断します。
②医療用テープなどの資材を準備
清潔なおへその上に、専用の資材を当てます。豊洲みんなクリニックではニチバンの<へそ圧迫材パック>を使用しています。
③専用テープで固定
医療用テープで優しく圧迫し、固定します。
適切な圧力で行う必要があるため、医師の指導を必ず受けてください。
④定期的な交換
テープは約1週間ごとに交換し、肌の状態を確認します。
赤ちゃんの皮膚はデリケートなので、かぶれや赤みが出た場合は適切に対応します。
✅ 圧迫療法の効果
・早期の自然治癒が期待できる
・6ヶ月以内に治癒する確率が高まる
・美容的な改善が期待できる
✅ 圧迫療法の注意点
・医師の指導のもとで行うこと(自己判断でのテープ貼付は危険です)
・テープかぶれに注意
・無理に強く押さえつけない
赤ちゃんのおへそがぷっくり膨らんでいると心配になるかもしれませんが、ほとんどの場合は自然に治癒します。圧迫療法については医師の指導のもと、安全に行うことが大切です。
気になる場合は、いつでもご相談ください。次回も役立つ情報をお届けしますのでお楽しみに!