スギ花粉症について:症状・治療・最新の治療法
こんにちは、有明こどもクリニック豊洲院院長の「のりちゃん先生」こと、村上典子です。
花粉症の季節がやってきました。今や国民病とも言われる花粉症。毎年、くしゃみ・鼻水・鼻づまり・目のかゆみなどに悩まされる方も多いのではないでしょうか?
クリニックにも先週くらいから花粉症を訴えていらっしゃる患者様が大変増えてまいりました。
特に、日本ではスギ花粉症が圧倒的に多く、例年2月~4月頃にピークを迎えますが、今年は観測史上最も早い飛散!!!と話題になっており、1月中から症状が出ている方も多かったのではないでしょうか。今回は、スギ花粉症の症状や対策、そして最近注目されている治療法(免疫舌下療法&ゾレア)について詳しくお話しします

スギ花粉症とは?
スギ花粉症は、スギの花粉が原因となるアレルギー性鼻炎の一種です。日本では人口の約4割がスギ花粉症に罹患しているとも言われ、年々増加傾向にあります。
✅ 主な症状
・くしゃみ:突然連発することが多い
・鼻水:透明でサラサラした鼻水が続く
・鼻づまり:夜寝るときに苦しくなり、睡眠の質が低下する
・目のかゆみ:充血や涙が止まらないことも
・のどの違和感:咳やイガイガした感じが続くことも
・頭痛・倦怠感:花粉の影響で体調が悪くなることも
特に小児の場合、鼻づまりがひどいと集中力が低下し、学習や睡眠に悪影響を与えることがあるため、早めの対策が重要です。
スギ花粉症の治療法
スギ花粉症の治療には、大きく分けて「対症療法」と「根本治療」の2つのアプローチがあります。
✅対症療法(症状を和らげる治療)
花粉症の症状を抑えるための治療法です。以下の薬が一般的に使用されます。
🔹 抗ヒスタミン薬
くしゃみ・鼻水・目のかゆみに効果的
例)アレグラ、クラリチン、ザイザル、ビラノアなど
眠気の少ないタイプもあり、学童や学生にも使いやすい
🔹 点鼻ステロイド
鼻づまりの改善に有効
例)ナゾネックス、アラミストなど
🔹 抗ロイコトリエン薬
気管支喘息やアレルギー性鼻炎に効果
例)モンテルカスト(シングレア、キプレス)
🔹 目薬(抗アレルギー点眼薬)
目のかゆみに対して効果的
例)パタノール、アレジオン点眼液など
✅根本治療(アレルギーの体質を改善する治療)
スギ花粉症の根本的な改善を目指す治療法として、「免疫舌下療法」と「ゾレア(オマリズマブ)」があります。
免疫舌下療法(舌下免疫療法)とは?
🔹 花粉症を根本的に治せる可能性がある治療法
免疫舌下療法は、スギ花粉のエキスを舌の下に投与することで、アレルギー反応を抑える治療法です。長期間続けることで、体がスギ花粉に慣れ、症状が軽くなることが期待されます。
✅ 免疫舌下療法のポイント
・治療は3年以上継続する必要がある
・5歳以上から治療可能
・スギ花粉が飛んでいない時期(6月〜12月)に開始する必要がある
※1日1回、舌の下に薬を含み保持、自然に溶かして内服します
✅ 免疫舌下療法のメリット
・花粉症の根本的な改善が期待できる
・子どもの頃から始めることができる
✅ 免疫舌下療法のデメリット
・毎日続ける必要がある
・3年以上の長期治療が必要
・初回投与時にアナフィラキシー(重篤なアレルギー反応)のリスクがあるため、初回は必ず医療機関で内服する
ゾレア(オマリズマブ):重症花粉症の新しい治療法
🔹 ゾレアとは?
ゾレア(オマリズマブ)は、IgE(アレルギー反応を引き起こす抗体)をブロックする注射薬です。
これまで喘息やじんましんの治療に使われてきましたが、2020年からスギ花粉症にも適応が拡大されました。
✅ ゾレアのポイント
・重症のスギ花粉症に対する治療
・12歳以上から使用可能
・花粉が飛散するシーズン前から使用開始
・2週間〜4週間に1回の注射
・症状を大幅に軽減
✅ ゾレアのメリット
・即効性が高い(1回の注射で効果が数週間持続)
・重症花粉症でも日常生活が楽になる
・飲み薬や点鼻薬の使用量が減る
✅ ゾレアのデメリット
・保険適用条件がある(症状が重症であること、IgE値が一定以上であること)
・コストが高い(自己負担額が高くなることも)ただし医療証があれば助成の範囲内
・継続治療が必要(シーズンごとに毎年受ける必要がある)

スギ花粉症は、子どもにとっても学業や生活に大きな影響を与える疾患です。症状がひどい場合は、早めに適切な治療を開始することが重要です。
花粉症の治療は個々の状態に合わせて選択肢が異なるため、気になることがあれば、ぜひご相談くださいね。
次回も役立つ情報をお届けしますのでお楽しみに!